大森町の町民の美意識の高さ
石見銀山の間歩(まぶ)のある大森町周辺の自然は美しい。この地が世界遺産に登録された理由の一つに、銀を採掘し大量の木材を伐採しながら、同時に森林の保全を行なってきた、そのエコロジカルな思想にあったともいわれている。その文化的伝統は今も大森町の隅々に息づいていることを実感する。
大森の町並みを散策していると、自然に生える野草の美しさに驚き、大森町民の美意識の高さにも感心するばかりだ。こんな町だから、吾が猫族もそれに相応しい豊かな日常生活を誇らしく送っていることは一目瞭然だろう。
キムチとう名のまちの看板猫
なぜ名前が「キムチ」なのか、未だに理解していないが、彼の住まいを覗きこんだ人は誰しも驚嘆の声を上げる。「アッ、この猫、生きている!! 本物の猫なんだ!!」と。
傍らの「家宝は寝て待て」の掛け軸を観て、フムフム、これがキムチの座右の銘かと、妙に納得してしまう。アパレル・ブランド『群言堂』の本店の向の店のショーウインドウが彼の棲み家だ。
「キムチ」は群言堂の顔でもあるが、そのノッシ、ノッシと歩く姿は、まるで江戸時代の銀山を取り仕切る代官然としており、その偉容は観る者をハハーッとかしずかせたくなる。昔の日本には、こんな人徳があり威厳のある武士や政治家がいたはずだが、国民から選ばれた現代の政治に携わる者の中で、自然と頭がさがるような尊敬できる人物は吾輩は知らない。自らの役割を自覚している役者猫キムチの便りをじっくりと読んでみてはいかがだろうか。
写真は、長い昼寝からお目覚めになり、『嫌だなぁ、放っといてくれよ』と言わんばかりに不機嫌なお顔のキムチ様というところか。
仲好し小好しの大森猫族
間歩見学に行く途中、大森の猫族一党を発見。黒や白黒、灰色に虎など、ざっと7〜8匹は居たろうか。吾輩のデジカメがとらえたのは、その内の5匹。カメラを向けても平気の平左、大らかだね。何のためらいも緊迫感も無く、まったり気分で愛想が良い。おいしい空気がいいんだねぇ。大森の時間は実にゆったりと流れている。
心頭滅却すれば高所もまた極楽、極楽」と考える猫
ヨーガの修行ではない。写真は「世俗から解脱し、無欲の境地に至るだけよ」とでも言いた気な、悟りの修行中の猫である。 おまけに猫版「半跏思惟のポーズ」までご披露いただき、有難や有難やと手を合わせるばかりであった。(2009年5月5日)